2004年8月29日

阿刀田高「コーヒー党奇談」

旅先でのちょっと不思議な事件をあつめた短編集。わりとありがちではあるが、「父に会う」が何かブラック感があっていい。地元が出ているからかもしれないけれど。「守り神」は現実的で怖い。心に何かよりどころを持っていれば、何とか間違いをせずに生きていけるというところ??でも、紙一重だよなぁ。

 

2004年8月24日

大沢在昌「ザ・ジョーカー」

ハードボイルド短編集。”ジョーカー”が様々な依頼を解決していく。最初は佐久間公チックかなぁ、と思ってたけれど、軽く読める感じ。真ん中あたりはいまいちだったが、最後の「ジョーカーの伝説」はかなりよかった。これぞ大沢ハードボイルド。

 

原島博・井口往士監修「感じる・楽しむ・創り出す 感性情報学」

学振の未来開拓学術研究推進事業研究プロジェクト「感性的ヒューマンインターフェイス」の成果をまとめた本。報告書ではなく、インタビュー形式で専門外の人にも読みやすいと思う。個人的には、東大の堀先生の洋服屋の優秀な店員さんを調査した結果に基づいて、関心空間からの新しい発見と販売方略の決定をさぐる研究がとても興味深かった。

よく「バーチャル世界を現実世界に限りなく近づけるなんて」という意見を聞くこともあるが、そのことによって人間の行動などが明らかになることがあるし、他のシステムに応用できる知見が得られることも多い。この本で述べられているような人間のメンタルモデルや感性を研究することによって、いろんなことが見えてくると思う。

2004年8月17日

貫成人「哲学マップ」

哲学を勉強したい人にはいい本だと思う。高校のときには受験のため、独学で倫理政経を勉強して(歴史や地理が苦手だった、という条件が大きかったけれど。)いたので、半分くらいは「あー、そうそう」と思い出しながら読み進められた。予備知識が全くなくても読めるんじゃなかろうか。大学生に勧めたい1冊。

 

森博嗣「工作少年の日々」

エッセイ集。楽しそうだなぁ。何かこういった趣味を持ちたいなぁ、と思わせる本。かなり財力も必要そうだけど、、、。電子ブロックだけは家にあるんですけどね。

 

 

2004年8月15日

折原一「鬼面村の殺人」

折原作品は好きで、かなり読んでいるけれど、ちょっといまいちな感じ。ぞくっとする怖さがないからか?

2004年8月14日

小川洋子「薬指の標本」

中編2つ。なにかもやがかったような世界観、シュールといっていいのだろうか、不気味である。そこがいいところ。

 

 

山本眞一編「SDが変える大学の未来」

この本は筑波大学大学研究センターが開催した「大学経営人材養成に関する短期集中公開研究会」の講演をまとめたものである。 SDとは"Staff Development"の略で、大学職員の研修のことである。標準偏差でもなければ、メモリーカードでもない、なんて(笑)。 "FD(Faculty Development)"と対応するものと言えるだろうか。内容はドラスティックなものもあったが、基本的には「プロ意識を持つ、幅広い視点を持つ」という点が根底にあるのだろうと思った。

東野圭吾「宿命」

本屋に平積みされていて、帯に「のちの名作『秘密』『白夜行』そして『幻夜』へとつながる」と書いてあったので、ついつい購入。「秘密」「白夜行」はすでに読んでいたけれど、なかなか面白かった。対照的な2人をつつむシニカルな雰囲気がいい。