山本眞一「大学事務職員のための高等教育システム論」

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職員向けの大学論。内容自体は比較的平易で、どちらかというと若手職員向けだろうか。こういった知識は体系的に教えられることも少なかったし、知識を整理するためにはいい本だと思う。また、職員として働き出すと、自分の大学しか見えなくなると思うので、その辺を打破するきっかけになるのかもしれない。大学に勤務して、職員の役割の重要性をひしひしと感じている教員としては、ぜひ多くの職員に読んでもらって意識を高めていただきたいと思う。

何でもかんでも二極化が叫ばれる昨今だが、第六章にて大学職員における二極化も指摘されている。こういう問題は、教員でも同じだと思うが、トップ層の意識改革と草の根運動の両面から解決していくしかない。もちろん、大変だが。。。

1点気になる点があった。第二章で大学院の規模が小さいことを問題にしており、原因に日本の雇用実態をあげている。確かに雇用実態には問題はあると思うが、だからといって今のような大学院の拡大を進めていいとは思えない。企業が院生を多数採用するようにならない限り、大学院生を増やすべきではないと思う。先に院生が増えてしまい、大学生の数も減っているような現状では、研究職が増えないのは当然なのだから。

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このページは、むらかみが2006年3月19日 17:47に書いたブログ記事です。

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