野田稔「中堅崩壊」

大学へ。たまっている事務仕事を片付ける。ひたすら書類作り。研究室も片づけないといけないのだが、それは後回し。この夏にはぜったいやらなければ。Tシャツでいったら、学生に間違われる(笑)。まだ若づくり可能らしい。

夕方、京大美濃研へ。ちょっと作業して、その流れで院試の打ち上げに参加。昨日、今日が院試だったそうで、4回生はほっと一息、という感じだった。明日、博士課程の中間発表(D2)や修論公聴会があるので、その辺の人たちは明日まで大変。まあ、私も大変(苦笑)。久しぶりに先生ともお話した。忙しそう、、、。

 

野田稔「中堅崩壊 ミドルマネジメント再生への提言」を読んだ。400ページほどで重厚な感じではあるが、非常に読みやすく、結構一気に読めた。

前半はミドル層の問題と1000名アンケートの結果分析。そもそもずっと後輩がいない状態だったのに、突然多くの部下を抱える、ということになることも多く、構造的にも多くの問題があるわけだが、アンケート結果からは、ミドルのプレーイングマネージャー(自分で動いて、管理業務もする)は多重債務者でありながら、単に疲弊しているわけではなく、育成意識をもって仕事に取り組んでいる、ということなどが分かる。ただ、ポストの不足など、問題点は数多い。このような調査結果を知ることは大学人にとっても有用だと感じた。

後半には「プロジェティスタ」という職種が紹介されている。プロジェティスタはイタリアに見られる職業で、中小企業がプロジェクトを実施するときに、そのプロジェクトマネジメントを引き受けるものである。この職業を参考にして、「社内プロジェティスタ」といった働き方が、日本のミドル層(プレーイングマネージャー)が目指すべきものだ、と指摘している。その際、重要になるのは知識よりもヒューマンスキルであり、リーダーシップやイノベーティブがポイントになる、ということも指摘している。確かにそうだろうな、という感想をもった。

第5章の初めに、下記のように述べられている。

「ミドル層を再活性化する、たくさんの小リーダーを生み出し現場力を高める、ミドルを通じてジュニア層も活性化する、これらが多くの企業が今なすべきことである。しかし、そのためには抜本的な構造改革と意識改革を行わなくてはならない。今ある制度、組織をそのままにして精神論的に変革を叫ぶケースが多いが、それでは何も解決しない。現経営陣が先頭に立ち、構造改革、意識改革をすることが重要だと我々は痛感した。」(p233)

確かに、と納得する。こういった点を経営陣に理解し、実行してもらうために、どう巻き込んでいくのか、というのが、これまたミドルの課題でもあるのだろうな、という気はした。難しい。

私も一般的には”ミドル”ということになるが、大学内ではどうしても相対的に若くなる。しかしながら、多重債務状態であることには変わりなく、非常に共感することが多かった。また、参考になる事例も多く紹介されており、元気づけられることも多かった。大学の文脈にのるようなことも少し考えてみたいと思う。

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このページは、村上正行が2009年8月11日 23:55に書いたブログ記事です。

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