「高学歴ワーキングプア」 ~「フリーター生産工場」としての大学院~

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授業準備とテスト作りに四苦八苦。

「視聴覚教育」。e-Learning。サイトが変わってどぎまぎ。

「言語と平和Ⅱ」。グループ発表準備も終盤。最後に、中間発表をしてもらう。グループによってまちまちだが、なんとか頑張ってほしい。

「資格情報処理Ⅱ」。2回目の小テスト。今日のは難しかったらしい。難易度は同じくらいだと思うのだけど、前回の成績がよく、今回の成績が悪い、というのは、やはり企業や簿記関係の問題は学生にとってなじみがないからだろうか。

学会ホームページの打ち合わせ。

水月昭道「高学歴ワーキングプア」。出版された直後に買って読了していた。11月11日の朝日新聞の書評欄にも著者が紹介されていた。

とても納得できるところと、ちょっとおかしいでと思うところと、はっきり分かれる(半々くらい?)。でも、このような問題が提起されることは重要だと思う。

大学院(特に博士課程)に進学しても、研究者、大学教員としての就職は厳しい。かといって、企業への就職も厳しい。非常勤講師は年1コマ担当して30万程度。1回の授業辺り1万円計算なので、一瞬高い気がするが、年10コマ担当しても年収300万円。10コマやればそれだけで1週間は終わる。しかもここから税金やら健康保険やら年金やら払うわけだから、生活はかなり大変だ。だから”ワーキングプア”ということなんだろう。本当は、大学の雇用体系、というか世代格差に問題がある(これは一般企業でも当てはまると思うが)のだが、これは既得権益なんかもあって、そうやすやすとは変えられないのが現状だ。

だから、進学は(おおざっぱだが、理系の修士はのぞく)簡単には薦められない。企業に行った方がいいことが多い可能性が高いからねぇ。実際、大学教員になったところで(こういうことをいうとよくないのだが)、大学業界が”斜陽産業”であり、思ったような仕事が出来るとも限らないし、給料がいいわけでもない。実際、大学院生時代が、いろんな意味で研究する上では一番いい環境だった、という人が多いだろう。

このような状況だから、優秀な人は企業に行く、という流れになるのはある意味当然だし、そう思われても仕方がない。それでも進学したい、という人は、ハングリー精神を持って、心折れずに頑張ってほしいと思う。昔から「霞を食ってでも」と言われるが、言い得て妙だと思う。

もちろん、私も大学教員として、心折れずにがんばらないとな、と思う。既得権益を持ってしまった人を変えるのは、なかなか難しい。でも、少しずついろんな手段を使って、変えていくしかないだろう。

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むーにょんは後輩の味方!

最近、すっかり毒づいているむらかみです(苦笑)。

優秀な後輩(に限らず、先輩でも同期でも)には、
いいところにいってもらいたいもんねぇ。
そよぐ君にも、いいところがあることを願ってます。

でも、なんにしても就職したら、いろいろ忙しいので
院生時代に研究を頑張っておくことは大事ですよー。

僕もこれ読んだよ。
博士を出た後に、4年間、専業非常勤をやりましたので
分かるところはかなりあります。論旨が弱くて強引なところ多いけど…(それと実例のところが、あまりに都合よすぎて、作為的なものを感じたね)。

大学というところは、専攻する系統によってかなり違うと思うので、「そうかあ?」というのもありましたし、
一度サラリーマンをした僕としては、やっぱり「院に入れられた」学生の方も、もうちょっとしっかりしようや、と感じました。
なんていうか…あくまで自分の人生やからね…

そうですね、ちょっと強引なところはありますね。
それに、分野によっても、だいぶ違いますしね。

ただ、こういう問題を外部にオープンにすることが重要だ、ということはあります。まあ、これをきっかけに上の人に問題意識を持ってもらえればな、と思います。

たしかに、「院に入れられた」学生にはしっかり研究してもらわないといけませんね。自分の道は自分でしか切り開けないですから。。。

このブログ記事について

このページは、村上正行が2007年11月27日 23:55に書いたブログ記事です。

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