BEATセミナー「日本の教育×オープン・イノベーション」で収穫

東京へ。BEATセミナーに参加。今回のテーマは「日本の教育×オープン・イノベーション:世界に貢献できる人財づくりと教育富国を目指して」。講演者は飯吉先生@MIT、本間先生@立命館、田中先生@京大。著名な方ばかりとはいえ、この先生方であれば、わざわざ日帰りで東京に行かなくても(京都でも聞けるんじゃないのか?そもそも田中先生とは普段お話する機会もあるわけだし)という声も聞こえてきそう(苦笑)だが、いくつかの目的をもって参加した。そして、東京まで行った甲斐のあるセミナーであった。

山内さん@東大の趣旨説明。グローバル社会における日本の大学の役割、グローバル30の話など。日本の大学の役割、世界における立ち位置などについて少し考える。

飯吉先生のお話。「グローバル社会の中で、日本や日本人がリーダーシップを発揮し、世界に貢献するためには、日本の大学はどうあるべきか?」というテーマでお話しされた。いつもながら、本当に工夫されたプレゼンテーションで、聞き手を惹きこむ力を感じる。まず、イノベーション、という言葉がよくつかわれるが、価値観や文化まで変革して初めてイノベーションと呼べる、ということを指摘される。ここで、折田先生像の話が出てきたのは驚いた(笑)。その後、オープン化の意義、グローバル化とナショナリズムの混成のお話など。興味深かったのは、日本の大学全入時代、というのは、あくまで国内の問題である、という指摘。たしかに。

また、何回も指摘されたのは、文脈によって状況が変わってくるということ。授業においても一斉講義とグループ学習、どちらがいい、というのは場合によるし、大学のグローバル化、生き残り、といっても、大学によって違うのは当然である、ということ。そして、「助けを待つより、まず率先して「助け」となる」と指摘された。まったくもって、その通りだと思う。

続いて、本間先生@立命館。実はちゃんとお話を聞くのは初めてで、今回の大きな目的の1つである。最近、SDに関する文献を調べていて、お話を聞きたいと思っていた。うってかわってレジュメのみでの講演。熱い思いの伝わる、こちらもひきこまれるお話であった。とにもかくにも、大学に危機意識(特に財政的)が少ないことを主張された。職員の役割は言うまでもなく重要であるが、職員力を高めるには、結局リーダーシップだ、息の長い支援が必要になる、と。職員に責任と権限を与え、主体的に動いてもらえるように育てていくことが重要だと指摘されていた。そして、ボトムアップの活動とセンスあるリーダーシップをかみ合わせることがポイントになる、という締めくくりであった。

立命館では、執行部(学部長以上=理事)、職員部長級が1泊2日の合宿を行い、海外・国内の動向分析、立命館の現状分析、今後の運営方針などを議論しているそうだ。ぜひうちの大学でもやってほしいところだ。それで、職員(とは限らないだろうが)は勘で動いてはいけない、客観的なデータに基づいた分析を行い、その上でさまざまな決定を行わなくてはならない、ということを指摘されていた。志願者が減少したのであれば、需要の変化、他大学の動向、政策の把握、など、さまざまな要因を踏まえて分析し、対策を練らないといけない。まったくもってその通りだと思う。経験や一元的なデータ(例えば、自大学で簡単に取れるデータ)だけで判断してはいけないのだが、どうもこういうケースが多い。こういうことを改善するための方略については、考えないといけない。

ものすごく心に残ったのは「1日の決定の遅れが、1年の遅れになる」という言葉。本当にそうだ。そして、立命館として、同志社や関学、関大、京都産大が国際系に力を入れており、非常に危機感をもっている、ということにも、京都外大の一員としては脅威を感じた。

休憩をはさんで、田中先生の指定討論。こちらはいつも聞いている話(笑)でもあるが、相互研修型FD、文脈の重要性、についてお話しされた。とても楽しそうにお話しされている印象だった。言いたい放題とも言うのだけれど、実は今回3名とも言いたい放題な感じだった(笑)。

その後、グループディスカッション。4名で組んで、1名は大学院生、2名は社会人。このセミナーの社会人率の高さを感じた。感想を言い合ったり、質問を決めたり。

そして、最後はパネルディスカッション。リーダーシップとは、まず現場に現状を把握してもらうこと。客観的なデータと事実をふまえて判断できること。あと、上でも述べたが、グローバル化とかオープン化とか言うけれど、十把一絡げでは議論できないのは当然で、レベルに分けて議論しないといけない、ということ、その大学における文脈が重要であり、それは自分で考えないといけない、ということ。これは3名に共通していたように思える。私もそう思っているので、とても胸のすく思いだった。

あと、最後にもう1つ。「待ってもリーダーが現れないなら、自分が行動して、リーダーになればいい」という内容も3名とも共通だったように思う。批判だけしてはだめで、代替案をもって行動することが大事だ、ということだ。これも普段からそう思っているので、大きな後ろ盾を手に入れた気がした。

UT Cafeにて懇親会。いろんな方とお話して、楽しく過ごす。日帰り出張だったが、本当に収穫の多いセミナーだった。そして、これを活かすも殺すもこれからの行動次第だ。

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このページは、村上正行が2009年9月 5日 23:55に書いたブログ記事です。

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