「大学の実力」の反響に考える

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論文作業最終チェック。ふぅ。

夕方から、GP関係の打ち合わせ。2時間ばかりがっつり議論。

さて、少し前の話になるけれど7月20日、21日の読売新聞に「大学の実力」という特集記事が掲載された。退学率や、習熟度別授業、FDなどに関する自己評価が掲載されて話題になった。残念ながら、ネット上にはないので、直前の記事をリンクしておく。

725大学中499大学のデータが掲載されたわけで、当然大学業界で話題になった。うちの大学は、というと、、、実はいろいろ問題があった。FDの自己評価がD、退学率が未公開、という状態で掲載された。
これについては大学の回答体制に問題があり、適切な回答ができなかった、ということによるものである。

自己評価に関しては、あくまで自己なので、まあ別にいいのでは、と思わなくもないが、あれだけ一覧で掲載されるとちょっと目立つ(苦笑)。大体の大学はBかCですからね。FDについては今年かなり改善されたし、授業改善そのものは各教員が熱心にしているから、BでもCでもよかったかな、という気はする。まあ、Dからがんばってあがればいいだけのことではある。

ちょっと問題なのは退学率の未公開。「公開できないくらい、退学してるのでは?」と思わんでもない。まあ、こちらも実際そんなことはないはずなので、大学として公開すべき問題ではあるだろう。

なぜ、こういうことを改めて書いているか、というと、いろいろ後日談を読んだからである。まず、読売新聞に新たな記事(「「大学の実力」調査反響」(読売新聞'08/08/05))が掲載されている。例えば、総合自己評価Aをつけた大学の学生から「そんなことないだろう」という意見がなされているという。

この記事の最後は、このような締めくくりになっている。

当事者の大学からは、教育を見直す上で「刺激になった」とする声も多かった。非回答校を列挙すべきだと提案する私大の教員もいた。一方で、大学内の関係者から「誰が回答したか不明なので教えて」「これから回答できないか」といった、理解に苦しむ問い合わせも相次いだ。

大学という組織は、こういうところだ、ということを如実に表していると言える。うちの大学だけではない、とちょっと安心はできるが、大学業界に身をおくものとしてはやはり心配になる。。。

大学職員系ブログでは超有名な大学プロデューサーズ・ノート「読売調査「大学の実力」(3):報道の後、大学内で何が起きたか?」が詳しいと思うので、興味ある方はこちらをご参照下さい。私はほぼ同意見です。

「定員割れの私大、過去最多の47% 事業団調べ」(朝日新聞 '08/7/31)という時代。そして、573ある私立大学のうち、マンモス21大学で大学志願者の半分を確保しているという時代。個性をいかにアピールしていくか、そのための大学組織のあり方を業界全体で見直さないといけない時代なんだろう、と思う。

コメント(1)

こうなると、特殊な技術で世界的なシェアを誇る中小企業などから、その世界戦略を学ぶのがよいのかも知れませんね。この状況を乗り切る手懸りを同じ業界の中に求めるのではなく、広く世の中から学ぶ姿勢こそが、僕達には必要なのではないか、と思えます。
微温湯の中でマネージメントの厳しさを知ることのなかった人々が今になって慌てふためいているというのが、現状でしょうね。

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このページは、村上正行が2008年8月 8日 23:55に書いたブログ記事です。

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