中原淳・金井壽宏「リフレクティブ・マネジャー 一流はつねに内省する」

正月、家でのご飯は餅三昧。焼いたり、煮たり、いろいろしながら食べております。

午後、久しぶりにジムへ行ってきました。今の家に引越してから初めてで、家の近くにジムがあるのです。バイクこいだり、泳いだり。今年はぼちぼち行くようにしたいです。その後、寺町に行ってREGALにて靴を購入。


10月に発売なので、もうずいぶん前になるのですが、、、「リフレクティブ・マネージャー 一流はつねに内省する」中原くん@東大からご献本いただきました。ありがとうございました。遅くなって本当にすいません。。。

 


中原淳さんは、教育工学を専門とする研究者で、今は企業を対象にした研究、人材育成や大人の学びに関する研究を精力的に行なっています。私と同世代(2つ下の1975年生まれ)で、新進気鋭(といってもずっと活躍されてますが)の研究者です。共著者の金井壽宏先生@神戸大学は、経営学がご専門で、モチベーションやリーダーシップ、キャリアに関する研究の第一人者です。このような2人が企業のマネージャーについてそれぞれの立場からまとめたものです。"リフレクティブ"とあるように、リフレクション=内省がキーワードになっています。

まず、最初に驚くべきことは、2人が"往復書簡的"に書いていること、そしてただ往復なだけでなく、内容についても交互に書くことで深められているという点です。共著の場合、章ごとに担当を分担することが一般的です。また交互で書く場合でも、どうしても独立になりがちです。しかしながら、この本での2人のやりとりは、まさに「対話」になっていると言えます。これは中原くんの前著「ダイアローグ 対話する組織」で強調されている「対話」をこの本で「有限実行」しているわけで、かなり意識して本を作っていったんだろうと思います。著者たちが最後にリフレクションしている部分も含めて、行動で示している点はすごいなぁ、と思いました。

興味深い部分はほんとうに多くあります。私は大学教育を対象としているということから、大学教員の学び、大学組織の学びというものをどうしても意識してしまうのですが、そうして読み進めると、いろいろ考えることが新しく出てきます。

「「私の教育論」は万能か」の節(p226~)に、人々が教育に雄弁な理由として、誰もが教育を受けた経験をもっていること、教育が評価の難しい営みであること、という2点が上げられています。こういった事情によって研修などで「私の教育論」がはびこりがちになると言えます。大学教員もまさにその典型で、経験に基づいた自分の教育論に固執しがちになる場合が多いです。もちろん、経験も重要だし、そこから抽出された論(金井先生のいう持論にあたるでしょうか)も有用であることは間違いありません。ただ、教育や研修を行う上では、状況をよくよく踏まえないといけません。大学教員が大学生を教える場合、学力が違うケースも多いですし、目標や興味も異なることが多いです。どうもこの辺を踏まえていない教員が多いように感じられるんですよね。それに記憶はいいように再構築されますしね。

また、「丸投げ型研修の無責任」(p235~)、「よりよい企業研修のために」(p246~)で述べられているように、たとえばFDなどの講演を依頼するときにも、「講演者の好きに話してもらうのがいい」という感じで丸投げするケースが多いです。逆に「うちの大学の問題点にあうように話してほしい」とお願いしておきながら、あまり情報も提供せず、打ち合わせもあまりしないというケースもあります。これは、自分の大学に関する情報を知りすぎてしまっているために、他人に伝えることをしないということですね。大学教員は密かに(?)情報共有の苦手な人種だと思います。。。これに関する解は「講演は、依頼する側とされる側の協同作業」(p255~)の節にあります。まあ、タイトルがそのまま解ですけどね。

そして、私もつねづね思っていることなのですが、大学教員として自分が学び続けていく必要があります。そうしないと学生や院生を教えることができないと思うんですよね。そのこともあちこちで書かれています。

まだ読まれていない方にとっては、2010年の最初に読むにふさわしい1冊ではないかと思います。新書ですから安いですし、内容も充実していますし。まあ、この日記では、たいした大した書評になっていない(苦笑)ので、まずは実際に本を見てみることをお薦めします。

ちなみに、大阪梅田の紀伊国屋書店では、新書コーナーで"日経新聞の書評で紹介されました"といったコメントとともに目立つように置いてありました。すごいですねぇ。私ももっと頑張りたいなと思います。

 

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このページは、村上正行が2010年1月 3日 23:55に書いたブログ記事です。

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